糸山先生
いつもお世話になります。石渡です。
私たちの家にレナがやってきて 1年7ヶ月になります。とても元気でまるで白い子ライオンの
ような子犬は あっという間に成犬になり、もうすでに人間で言うと22歳ぐらいでしょうか。
ほんとうに早いものです。
私たちは、ある有名な獣医師(海外研修に行ったり各地で犬のしつけについての指導や
講演をしている。)の指導のもと犬を育てました。絶対に怒らずほめて育てるという方法です。
その獣医師によると犬は3秒で自分のしたことを忘れてしまうので、
叱っても無駄で体罰などは論外ということでした。
そして、リードはへその緒と同じなので決して引っ張ってはいけない。
してほしくない事をしたときは無視する。おやつをうまく使う。というようなものでした。
私たち家族はその教えを忠実に守り、散歩もおやつを持って決してリードは引っ張らず
とにかくほめて育てました。その結果レナは、憶病というチワワ特有の気質はそのままに、
自由奔放でわがままなお姫様犬に育ってしまったのです。
その獣医師の提唱するしつけ方法が正しいか正しくないかはわかりません。
ただひとつ言えることは、その方法がレナには全く合わなかったということです。
犬種の持つ気質や生まれながらにしての性格は、それぞれ違いますから
ひとつの方法でどの犬もうまくいくとはかぎりません。
私たちは獣医師だし、しつけのプロが言うことなので間違いない、と思い
その方法が合っているかどうかなど、考えることもなかったのです。
犬を飼い始める前に、少しは勉強しておくべきだったと深く反省しています。
1歳を過ぎたころから 困った行動が目に付くようになってきました。散歩のとき出会う犬に
激しく吠えかかったり、フェンス越しの隣人にも吠えてしまうようになりました。
楽しいはずの散歩もストレスだらけのものになってしまいました。
何とかしなくては、と思い色々なしつけの本や雑誌を読んだり、インターネット検索から
吠えると振動する首輪や、あるテレビ番組で優勝したという人のしつけのDVDも購入しました。
さらに、犬の幼稚園に入園させて社会性を身につけさせようと試みたり、
ヴィッセにたどり着くまでに実に様々なことをやってしまいました。
しかし、そのすべてがレナにとって苦痛の連続だったかも知れません。
かわいそうなことをしてしまって、またまた反省です。
私はヴィッセで多くを学びました。いえ、学んでいます。まだ進行形です。
先生はとてもわかりやすく話してくださり、納得できるように説明してくださいます。
これまで思い違いをしていたことに気づいたり、何が大事なのかを解らせてくださいます。
学ぶべきは飼い主なのですよね。犬は飼い主を選べないのですから。
つい先日2クールを終えたところですが、レナの問題行動も少しずつ改善されつつあり、
穏やかな顔つきになってきました。それだけでもとてもうれしいことで、
かわいい写真が撮れて感激です。
これから先は、レナに沢山の経験をさせようと思っています。
いろいろなことに慣れさせて不安要素を少しでも減らせるように、そして気長に焦らず、
できるだけ多くの時間をレナと共有し、一緒に成長していけたらと思います。
もうしばらく先生にはお世話になります。いつの日か誰からも可愛がられる
レナになれますよう、頑張りますのでよろしくお願いします。
石渡 真弓
●トレーニング前のレナ〜眉間にしわがより険しい顔をしています。

●現在のレナ〜穏やかな顔つきになってきました。

【糸山より】
犬のしつけは、犬によります。また、飼い主の性格と犬の性格など内的要素に加え、
各家庭の生活環境などの外的要素も大きく影響するので、
「こっちが正しくて、あっちは間違っている」とか、「この方法が絶対にいい!」という、
普遍的かつ絶対的な方法は存在しません。
石渡さんがおっしゃるように、犬種の持つ気質や生まれながらにしての性格は、
それぞれ違いますから、ひとつの方法でどの犬もうまくいくとはかぎりません。
しかし、それぞれの飼い主と犬に合った方法は必ず存在します。そして、いまだにしつけと訓練、トレーニングが混同されています。
もし僕がある犬に特別なことを教えたくてトレーニングをする場合は、
特にモチベーションを大切にするので、叱ることは非生産的なので絶対に叱りません。
(アジリティドッグ、ダンスドッグ、作業犬など)
トレーニングをする時は、犬の希求性が大切なのです。出来ないからといって叱ると、
モチベーションが下がり、覚えることを拒絶してしまうのです。
『しつけ』は、犬も人間の子供も道を踏み外さないように、
反社会的な行為をした時は、きちんと叱ることが大切だと僕は考えています。
反社会的な行為とは、『人や犬に向かって唸る、吠える』
『飼い主に唸る、噛む』という行為です。
ですので、犬も人間の子供も反社会的な行為をした時は、
その子の将来のために、愛情を持って本気で叱ることが大切だと思います。
そして、親にきちんと叱られることに愛情を感じ、叱ってくれる親にすがろうとすることが、
ある哺乳類動物の研究で認められています。
しかし
、『反省』と『後悔』ができない犬をただ叱るだけでは、犬は悪い行動を
どう改めればよいかはわかりませんし、叱ってお利口になるなら誰も苦労しません。
多分、前述の獣医さんは、しつけとトレーニングの区別がついていないのでしょう。
(それにしても、リードがへその緒とはすごいこじつけですね!?)
最後に、僕が盲導犬訓練士・多和田 悟さんから教わった言葉を紹介します。
『No は教えなければならないが、No で犬に何かを教えることは出来ない。』
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